特許取得のメリットとデメリット

模倣の防止

特許権が侵害(例えば、模倣品を製造・販売)されたと裁判所で認められれば、その模倣品の製造・販売の停止及び損害賠償が認められます。この特許権の効力により、特許権の侵害はすまいという抑止力が働くため、未然に模倣品の出現を防ぐことができます。これにより次の効果が期待できます。

効果①:安い価格の模倣品が出回って、自社製品が売れなくなることを防止できます。

お金と時間を投資して開発した製品が、いとも簡単に模倣されて、その投資を回収できなければビジネスとして成り立たなくなります。売上が見込める製品については特許を取得することをオススメします。

効果②:他社製品と差別化できることで売上アップに貢献できます。

例えば、営業担当者はお客さんに、「この製品はうち(自社)が独占販売しています!」というセリフで営業できます。

事例紹介

💡旭精工㈱の特許戦略

同社は徹底的に模倣品を排除し、独自製品の優位性を維持し続ける、王道の特許戦略をとっています。

💡特許権侵害訴訟の実例~切り餅事件~

越後製菓の切り餅の特許権をサトウ食品工業が侵害し、サトウ食品工業は切り餅の製造・販売の停止と約8億円の損害を賠償したという事例です。8億円は、サトウ食品工業の当時の税引き前利益と同等だったそうです。

財産の見える化

特許を取得することで、その過程でアイデアを文章化するとともに、アイデアに価値があることを証明できます。これにより以下の効果が期待できます。

特許取得の条件は新しい&簡単には思いつかないことですので、特許を取得できればそのアイデアは一応の価値があるといえます。特許を出願しないとしても、アイデアに価値があれば、ノウハウとして適切管理することで財産となり得ます。

効果①:見える化された財産は売れる・貸せる。

アイデアを見える化された財産とすることで利益を得ることができます。研究開発のみを行い量産は行わない研究所や、素晴らしいアイデアを思いついたが自社では具体化できない中小企業などに有効です。

事例紹介

💡㈱ガイア環境技術研究所の特許戦略

同社のビジネスモデルは、製品の販売により利益を得るのではなく、特許等を他社に実施させ、その対価を得ることで成り立っています。

効果②:業界における自社技術の立ち位置が客観的にわかる。

会社には目標があります。売上アップ、シェア一位、様々な目標があるはずです。どのような目標であろうと達成する方法はただ一つです。現状を把握し、複数の課題を設定し、一つづつ解決することで達成できます。

アイデアを見える化して財産として管理することで、現状を客観的に把握できます。すなわち、業界における自社の弱み・強みを客観的に把握し、最適な戦略で課題を解決することで最短ルートで目標を達成することができます。

事例紹介

💡㈱京都医療設計の特許戦略

同社は自社および他社の特許をマップ化することで、自社の弱み・強みを把握し、戦略を考えています。

信用力向上

特許を取得することでビジネスの信用力(収益力の信頼性)が上がります。これにより、以下の効果が期待できます。

効果①:資金調達がしやすくなる。

特許庁が次の制度を運用しています。中小企業が持つ特許などを考慮し、企業の強みや成長性、ビジネス全体を評価した知財ビジネス評価書を無料で作成する制度です。

中小企業の申請により評価書が作成され、金融機関は融資を行うかを評価書を考慮することができます。良い制度ですので是非活用してみて下さい。

知財金融サイト(特許庁)

効果②:ブランドが向上する。

知的財産に裏付けされた技術力によりブランドが向上します。技術力が高いという印象を与えられるので、自社を知らない人にも安心感を直感的に抱かせることができます。

事例紹介

💡中京銀行の事例

同社は知財ビジネス評価書を考慮して融資を行っています。

💡ツカサ工業㈱の特許戦略

同社は高い技術力とブランド力を武器としてビジネスを行っています。

他社特許対策

効果:特許上の弱みを解消できる。

自社が使用したい特許を他社が保有する場合(他社の特許権を自社が侵害するおそれがある場合)には通常、事前にその他社の許可を得る(ライセンスを受ける)必要があります。当然、ライセンスを受けるためには相応の対価を要求されます。この場合、特許上の弱みがあるといえます。

ところが、自社が保有する特許をその他社が使用したい場合(自社の特許権を他社が侵害するおそれがある場合)はどうでしょうか。言い換えれば、お互いがお互いの特許を使用したい場合です。この場合には、お互いの特許をお互いにライセンス(クロスライセンス)することで丸く治めることができます。攻撃は最大の防御といえます。

事例紹介

💡知的財産戦略の基本的な考え方

キヤノン株式会社元専務取締役である弁理士の丸島先生による知的財産戦略のご紹介。戦略的クロスライセンスにより事業化前に知財上の弱みを解消することの重要性を説いています。

社員のモチベーション向上

効果:人材の有効活用により業績向上が期待できる。

企業は人なり。松下幸之助さんの言葉です。言うまでもなく、企業にとって「人」が最大の資産であることを意味しています。「人」のモチベーションを上げることができれば、企業全体も元気になり、業績向上が期待できます。

大手企業の下請けに徹し、言われたことをただひたすらに行う企業。自らの頭で考え、新しいものを創り出す企業。どちらの企業で働きたいと思いますでしょうか。当然、後者だと思います。後者のような風潮がある企業の社員はイキイキとしているものです。さらに、良い特許がとれた場合には、その発明をした人に報奨金を与えるなどすることで「人」のモチベーションをさらに向上できるはずです。

事例紹介

💡㈱コーワの特許戦略

同社は、特許の申請を通じて社員のチャレンジ精神の高揚などを図っています。

デメリット

コストがかかる

特許1件で、特許庁に支払う費用が約20万(中小企業は割引があります。)、弁理士費用が50万前後かかります。具体的な料金は以下のサイトをご参照ください

知的財産専門の社員を雇うという選択肢もありますが、平均年収は600万程度です。

費用相場

公開される

特許を取得するためには、発明の内容を記載した書面を作成する必要があります。この書面は、特許を出願した日から1年半後に公開されます。ネット上に公開されるため全世界の人が見える環境下に置かれることとなります。

特許を取得しなくても模倣されるおそれが低い発明については特許出願をするべきではありません。例えば、製品を分析しても発明の特徴がわからない場合です。具体例としては、コカ・コーラが有名です。

特許出願を行わない場合は、徹底した管理を行い、発明の情報が流出することを防止する必要があります。これにより、半永久的にその発明を独占することができます。

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